Presentations

About the abstracts

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Abstract submission deadline: September 30, 2026, 23:59 JST. Please contact the secretariat for corrections to published content. [email protected]

Invited Talks

Theme「Social Behavior and AI Technology」

Four invited speakers: researchers studying animal social behavior across taxa, together with a researcher working on behavior recognition (AI) from time-series sensor data (afternoon of Oct 8, from 13:20).

Each invited-talk slot is 30 minutes: 25 minutes for the talk and 5 minutes for questions.

Remaining abstracts will be added after receipt.

Invited talk 10/8 13:20–13:50 Horse herds viewed from drones Tamao Maeda SOKENDAI Open abstract Close abstract

Authors / Affiliations
◯前田玉青(総研大)

背景・目的

ヒトを含む動物において、ひとりのときと、集団の中にいるときでは、振る舞いや心理が変化することがある。また、仲が良い人が側にいるか、どういった文化的集団かなど、社会的要素も集団や個人の振る舞いに影響し得る。一方で、同時に多数の個体を観察する難しさから、これまでの研究はモデルによる理論的検証や飼育環境下における研究に限定されており、野生下で動物が見せる多様な社会性を十分考慮できないでいた。

材料・方法

本研究はポルトガル・アルガ、日本・都井岬に生息する野生化ウマを対象として行なった。ドローンによりフィールド全体の画像を取得し、100頭以上のウマの位置情報を継続的に記録した。社会ネットワーク解析や行動同期のシミュレーション解析などを行なった。また、ウマの移動をドローンから動画撮影し、深層学習を用いた物体検出モデルと多物体追跡手法を組み合わせ、連続的な移動軌跡を出力した。

結果・考察

一部のウマが「重層社会」を形成することが示唆された。重層社会とは、強い結びつきをもつ最小単位の群れが複数集まり、より高次の集団を形成する社会のことを指す。従来、群れは個体間距離が比較的均一であり、近傍個体間の局所相互作用により集団行動が説明可能とされてきた。ところがウマの重層社会では、同一群内は数メートル規模で凝集する一方、群間は約50m程度離れるという不均一な空間構造を示す。それにもかかわらず、距離の離れた群間で行動同期が生じるなど、従来モデルでは説明困難な集団行動特性が確認された。

Invited talk 10/8 13:50–14:20 Visualizing mass spawning in herring and examining sex differences Kyosuke Seki SOKENDAI Open abstract Close abstract

Authors / Affiliations
関 恭佑(総合研究大学院大学 統合進化学研究センター)

背景・目的

太平洋ニシンの集団産卵では、雌雄がペアを作らずに放精・放卵を繰り返す。このイベントの目視観察は難しいため、開始から収束に至るまでの過程は不明であり、個々の放精・放卵行動の記録が求められる。本研究では、まず小規模な実験水槽にて、ニシンに加速度ロガーを装着したうえで集団産卵を誘発させ、加速度データから放精・放卵行動を抽出するための行動分類モデルを作成した。次に大型の実験水槽にて同様の実験を実施し、作成したモデルを用いてイベントの中の放精・放卵タイミングを明らかにした。

材料・方法

まず、小規模の水槽実験は 2 回実施し、10 尾、16 尾のニシンを用いた。動画データから 5 つの行動イベントを定義して教師データを収集し、ランダムフォレスト(RF)モデルを作成して精度を評価した。次に、大型水槽による実験では 911 尾のニシンを用い、57 尾にロガーを装着した。RF モデルを適用させ放精・放卵を抽出し、それぞれのタイミングの差を調べた。

結果・考察

RF モデル全体の精度は 0.88 であった。大型水槽実験では解析対象の 50 尾から 1-328 回の放精・放卵が抽出され、一部のメスは長時間にわたって放卵を繰り返した。本種の産卵イベントでは同調的に放精と放卵が生じる一方、個体によってそのタイミングにはバラツキがあることが示唆された。

Invited talk 10/8 14:20–14:50 AI for bio-logging research: what behavior recognition from time-series sensor data can do now, and where it is heading Ryoma Otsuka Osaka University Abstract pending
Invited talk 10/8 14:50–15:20 パタスモンキー単雄群の集団移動における 時空間的調整メカニズム — GPS追跡と直接観察の統合から見えた雌雄の役割 — Maho Hanzawa The University of Tokyo Open abstract Close abstract

Authors / Affiliations
半沢真帆(東京大学大学院農学生命科学研究科)

背景・目的

野生動物の集団移動には、個体同士が時空間的に行動を同調・調整させることが不可欠である。近年のGPS追跡技術の進歩により、集団の移動パターンや凝集性を推定することが可能となった。しかし、個体の行動と集団動態を統合的に分析するアプローチは発展途上にある。本研究ではサバンナ性霊長類である野生パタスモンキー単雄群を対象に、GPS追跡と直接観察を組み合わせ、「見回し行動」と「音声(コンタクトコール)」の機能を解明し、性差に焦点を当てた集団維持のメカニズムを明らかにすることを目的とした。

材料・方法

2022年12月から2023年3月にかけて、ガーナ共和国・モレ国立公園に生息するパタスモンキー単雄群1群を対象に、オトナ個体6頭中オス1頭・メス4頭にGPS発信機を装着し、10分間隔で個体間距離、移動速度、移動方向を把握した。並行して終日直接観察を行い、雌雄の見回し行動、メスのコンタクトコール、10分間隔で周囲20m以内の未装着個体頭数を記録した。

結果・考察

メスは周囲のコドモが少ない時に見回しを行い、その後コドモが増える確率が高くなった。これは視覚的監視がコドモとの空間的結束維持に寄与することを示す。一方、ハレムオスはメスとの移動速度差が大きい時に見回しを行い、その後速度差は拡大した。これはオスの見回しがメスとのまとまりの維持より捕食者や他群への警戒行動である可能性がある。さらに、他個体との速度差が小さい時にメスが発声すると他個体の速度が上がる確率が高くなった。これは音声が意図的コミュニケーションを通じて集団の移動を加速させている可能性を示す。

Oral Presentations

Seven oral presentations will be held on Oct 9 (Fri). Each slot consists of a 15-minute talk and 5 minutes for questions.

O01 10/9 10:10–10:30 氷河フィヨルドにおけるワモンアザラシの潜水行動と環境条件の関係 櫻木 雄太 京都大学野生動物研究センター Open abstract Close abstract

Authors / Affiliations
〇櫻木雄太(京都大学)・Aqqalu Rosing-Asvid(グリーンランド天然資源研究所)・ Yefan Wang(エディンバラ大学)・杉山慎(北海道大学)・三谷曜子(京都大学)

背景・目的

北極域では気候変動に伴う氷河融解が進行し,融解水の流入は沿岸域の海洋環境や生態系を変化させている.海に面した氷河の末端域では,融解水によって生物生産性が高く,餌生物が集まるため,海洋高次捕食者にとって重要な採餌場となっている.ワモンアザラシは氷河末端域を利用することが知られているが,環境条件に応じて潜水深度や海底付近への潜水をどのように調整するかは明らかでない.そこで本研究では,氷河末端域におけるワモンアザラシの潜水行動と環境条件との関係を明らかにすることを目的とした.

材料・方法

2021・2023年8月にグリーンランド北西部でワモンアザラシ7個体に衛星発信器(CTD-SRDL)を装着した.各潜水を,最大潜水深度と潜水地点の水深の比に基づき,表層潜水と底層潜水に分類した.そして,各潜水の特徴を応答変数とし,太陽高度や水深,氷河からの距離,地域気候モデルによる氷河融解水流出量との関係を,一般化線形混合モデルにより解析した.

結果・考察

表層潜水の最大潜水深度および底層潜水の割合は,太陽高度の上昇に伴い増加した.これは,光環境に伴う餌生物の鉛直分布の変化を反映した可能性がある.また,融解水流出量の増加に伴い潜水間隔は短くなった一方,表層潜水では潜水時間が長く,底層潜水では短くなる傾向がみられた.さらに,氷河末端域に近いほど表層潜水の潜水間隔は長かった.これは,氷河融解に伴う物理・餌環境の変化による影響と考えられる.以上より,ワモンアザラシは光環境や氷河融解に伴う環境変化に応じて,潜水様式を変化させる可能性が示された.

O02 10/9 10:30–10:50 外温動物であるアカウミガメの採餌行動における水温制約 前田亜悠莉 東京大学大学院 農学生命科学研究科 水圏生物科学専攻 Open abstract Close abstract

Authors / Affiliations
○前田亜悠莉・福岡拓也・阪井紀乃・小山初菜・坂本健太郎・佐藤克文(東大大海研)

背景・目的

海洋に生息する肺呼吸動物は、息こらえ潜水により餌を探索する。外温動物は内温動物と比べて酸素消費速度が低く、長時間の息こらえには有利である一方、外温動物は低水温への曝露が長時間続くと体温が低下する。海洋では深度の増加に伴って水温が低下するため、潜水は低水温への曝露を増加させる。そこで本研究では、肺呼吸を行う外温動物であるアカウミガメを対象とし、中層でクラゲ類を採餌する本種の潜水行動が、息こらえや鉛直的な水温変化によってどのように制約されるか調べることを目的とした。

材料・方法

2014年から2026年にかけて三陸沿岸域で放流した23個体のアカウミガメ(体重: 14–101 kg)の計211時間分のビデオデータ、経験水温および滞在深度を解析に用いた。ビデオデータからクラゲ類の摂餌イベントを抽出し、その頻度を深度および水温ごとに比較した。さらに、深度3 m以深の遊泳を潜水と定義し、ビデオ記録時間に占める総潜水時間の割合を潜水時間割合と定義した。海面水温と潜水時に経験する水温の差が大きくなるにつれて、潜水時間割合がどのように変化するかを調べた。

結果・考察

クラゲ類の摂餌頻度は、深度5 m以深、水温12℃以下で高くなった。一方、アカウミガメの滞在深度は深度0–5 mが最頻値となり、経験水温は18–23℃が最頻値となった。また、潜水時に経験する水温が海面水温より低い個体ほど、潜水時間割合が小さくなる傾向があった (スピアマンの順位相関, n=23, p<0.01)。これらの結果から、アカウミガメは潜水によってクラゲ類を採餌する機会が増える一方、潜水時の経験水温が海面水温より低い個体はその深度帯を長時間利用することを避けていることが示唆された。

O03 10/9 10:50–11:10 環境温度の上昇に対する抱卵期のアデリーペンギンの生理的応答 齋藤綾華 国立極地研究所 Open abstract Close abstract

Authors / Affiliations
〇齋藤綾華(極地研)・國分亙彦(極地研)、安達大輝(極地研)、坂本健太郎(東大大海研)、高橋晃周(極地研)

背景・目的

近年の地球温暖化に伴い、ペンギンなどの寒冷環境に適応した鳥類では、暑さが生理機能に直接的な影響を及ぼすと懸念されている。鳥類は体表面や呼気から熱を逃がすが、この放熱能力の限界を超えると体温が上昇し、健康状態の悪化につながる。特に抱卵中のアデリーペンギン(Pygoscelis adeliae)は強い日射にさらされ、水分も摂取できないため、こうした影響を受けやすい可能性がある。しかし、野生個体では高温に対する生理的応答はほとんど調べられていない。そこで、バイオロギング機器を用いて、野生下で抱卵中のアデリーペンギンにおいて、心拍数や体温、呼吸といった生理機能と環境温度の関係を明らかにすることを目的とした。

材料・方法

2025年11~12月に東南極のまめ島で抱卵中の親鳥11羽を対象に、胃内温度(深部体温の代用指標)、心拍数、加速度を1~3日測定した。繁殖地には気象計を設置し、気温、日射量、湿度、風速、またこれらを考慮した熱指数である湿球黒球温度(WBGT)を計測した。心電図データから心臓の拍動に対応するピークを検出し、心拍数を算出した。加速度データからOverall Dynamic Body Acceleration(ODBA)を算出し、ペンギンの活動量の指標とした。また、加速度の変動から呼吸にともなう胸の動きを検出し、呼吸数を算出した。

結果・考察

抱卵期のアデリーペンギンの平均体温は約38°Cであったが、WBGTが−4°Cを超えると体温が上昇し始めた。一方で、平均心拍数は約88拍/分であり、WBGTにともない増加する傾向は見られなかった。心拍数はODBAの上昇に伴って増加し、これは活動中の代謝需要の増加を反映していると考えられた。また、比較的暖かい日には、一部の個体が呼吸数を増やして熱を逃がす「パンティング」を行っていた。以上のことから、抱卵期のアデリーペンギンは、比較的低い環境温度下でもパンティングによる積極的な放熱を行い、体温の上昇も始まっていた。これは、アデリーペンギンの放熱能力が限られるためと考えられ、今後さらに熱負荷が増えると水分損失の増加や健康状態の悪化により、抱卵失敗につながる恐れがあると示唆された。

O04 10/9 11:10–11:30 海鳥の排泄は行動とどう関連しているのか? 上坂怜生 北海道大学水産科学研究院 Open abstract Close abstract

Authors / Affiliations
○上坂 怜生(北海道大学水産科学研究院)・佐藤 克文(東京大学大気海洋研究所)・依田 憲(名古屋大学環境学研究科)

背景・目的

消化物を体外に排出する排泄は動物に必要不可欠な生理的要求の一つである。しかし、行動生態学的な側面、すなわち排泄という生理的要求が動物の行動決定をどのように左右するのかという研究は、継続的な観察が困難なこともありほとんど進められていない。中でも海鳥は目の届かない海を飛ぶので観察が特に困難である。そこで本研究では、バイオロギングによる海鳥の排泄の行動研究の足がかりとして、外洋性のオオミズナギドリと沿岸性のウミネコの腹部に後方を向けて小型ビデオカメラを装着して排泄の直接観察を行った。

材料・方法

2023年から2026年にかけて、岩手県船越大島で繁殖するオオミズナギドリ(N=18)と青森県蕪島で繁殖するウミネコ(N=11)の腹部にビデオロガー(DVL400M028-VD3GT/リトルレオナルド社)を後ろを向けて装着し、映像による排泄の記録を得た。それぞれの海鳥から得られた映像をすべて目視で確認し、排泄のタイミングを記録した。

結果・考察

オオミズナギドリから得られた42.6時間の映像からは216回の排泄を確認した。また、海面に滞在している間は排泄を行わない特徴が見られた。ウミネコから得られた27.6時間の映像からは104回の排泄を確認した。オオミズナギドリと同様、海面滞在中の排泄が見られなかったほか、飛行中の排泄頻度が陸上に立っている間よりも高い傾向が見られた。本研究から、海鳥の排泄は時間経過とともに単に受動的に起こる消化物の排出ではなく、そのタイミングが飛行・着水・着地などの行動と密接にかかわっている可能性が示唆された。

O05 10/9 11:30–11:50 フロートGPS追跡による利根川感潮域のチャネルキャットフィッシュの水域利用と移動実態 仁部駿介 東洋大学大学院生命科学研究科生命科学専攻 Open abstract Close abstract

Authors / Affiliations
○仁部 駿介(東洋大学)・吉田誠(福知山公立大学)・石橋諒大(東洋大学)・伊藤元裕(東洋大学)

背景・目的

チャネルキャットフィッシュは北米原産の特定外来生物であり、定着域の拡大に伴う生態系への影響が懸念される。本種は利根川水系において汽水域でも分布が確認されているが、飼育実験では塩分環境への耐性は極めて限定的であったことから、本種は生理的ではなく忌避行動によって塩分適応を行っている可能性がある。本研究では、潮汐の影響を受ける利根川河口域において、GPS追跡した個体の移動軌跡と河道方向の移動速度を解析し、利用水域の個体差ならびに潮汐と移動方向の関連を明らかにすることを目的とした。

材料・方法

2025年4月および2026年6月に利根川河口域でチャネルキャットフィッシュ3個体にGPSロガー(Druid社製Mini 4G、BBSS社製まもサーチ3)を装着し追跡した。GPSロガーと発泡素材を組み合わせたフロートを作成し、魚体とフロートを糸でつなぎ、GPSロガーが水面に出る状態で曳行させた。得られた測位点を時系列に整理し、個体ごとの移動軌跡、移動方向と速度を求めた。各移動区間を銚子漁港の潮位と照合し、上げ潮・下げ潮別に上流方向と下流方向への移動の割合を比較した。

結果・考察

測位点は河口から4.6–22.0 kmに分布し、利根川本流のほか、黒部川、常陸利根川でも記録された。追跡期間は33.0–60.3時間、総距離は12.7–21.6 kmであった。上げ潮時の上流移動割合は3個体で79.6%、81.8%、66.7%、下げ潮時の下流移動割合は解析可能な2個体で61.1%と85.0%であった。潮位変動に対応して移動方向が変化する傾向がみられたが、連続する移動区間の時系列を考慮したランダム化検定では、方向割合の差に有意な潮汐の効果は確認されなかった。

O06 10/9 13:00–13:20 令和8年熊本地震前後におけるイエネコの行動変化 田辺創思 株式会社RABO・Catlog総合研究所 Open abstract Close abstract

Authors / Affiliations
⚪︎田辺創思(株式会社RABO Catlog総合研究所) 眞嶋啓介(株式会社RABO Catlog総合研究所) 渡辺伸一(株式会社RABO Catlog総合研究所、麻布大学獣医学部)

背景・目的

地震の前後で動物が通常と異なる行動を示すことは古くから報告されているが、その多くは地震発生後の目撃情報や逸話的記録に基づく。地震は発生時期の予測が困難であるため、発生以前から同一個体の行動を連続的に記録し、地震を境とした変化を定量的に評価する研究はほとんどない。2026年7月28日の令和8年熊本地震では、熊本県内のイエネコで地震前から行動データが記録されており、同時期に全国のイエネコのデータも収集されていた。本研究ではこれらのデータから熊本地震前後の行動変化を明らかにすることを目的とした。

材料・方法

猫用IoT首輪型デバイス「Catlog」・トイレ設置型デバイス「Catlog Board」の行動ログデータ(本震1週間前〜2週間後)を用いた。Catlogは内蔵の加速度センサーデータから食事、水飲み、毛づくろい、歩行、睡眠等を分類し、Catlog Boardは重量センサーデータから排泄物の種類(排便及び排尿)、頻度、及び重量を推定する。これらの指標について熊本県内在住と推定されるイエネコ(約170匹、熊本群)を対象に、本震前後の変化を同時期の全国のイエネコ(数万匹、全国群)と比較した。

結果・考察

地震前に比べて、本震当日は食事・飲水回数、毛づくろい・睡眠時間が減少し、全国平均を下回った。食事・飲水は数日で本震前及び全国平均と同程度の水準まで回復したが、毛づくろいや歩行・走行時間の増加、睡眠の断片化は全国平均より高い水準で約1週間続き、余震への警戒状態が持続していたと示唆される。また、排尿回数・重量も本震後1週間、本震前や全国平均より低い水準が続いた。本震後に熊本市で猛暑日が続いたことと飲水回数減少による水分摂取量減少が重なった結果、泌尿器疾患のリスクが高まっていたと考えられる。

O07 10/9 13:20–13:40 BiPが新しくなりました! 佐藤克文 東京大学大気海洋研究所 Open abstract Close abstract

Authors / Affiliations
○佐藤克文(東大大海研)・渡辺伸一(リトルレオナルド)・野田琢嗣(バイオロギングソリューションズ)・小泉拓也(バイオロギングソリューションズ)・福岡拓也(東大大海研)・吉田誠(福知山公立大)・吉田聡(京大防災研)

背景・目的

動物の生態や生理、周辺環境を明らかにできるバイオロギングデータには、多くの情報が含まれている。データを取得した人が当初の目的に沿った解析を行う以外に第3者による2次利用を促すためには、データに関わるメタデータと共にセンサデータが標準フォーマットで保存・公開される必要がある。また、近年論文を公表する際に、その中で用いられたデータの公開を義務づける学術雑誌も増えている。バイオロギング研究者やバイオロギングデータを探している人々が使い易いデータベースを構築するために、文部科学省から予算を受けてBiologging intelligent Platformを構築した。

結果・考察

プロジェクト6年目となる今年度、BiPに登録されたデータは、標準化データ件数1690件、観測種数41種、時系列データ96億点、軌跡データ7.4億点に達した。標準化されたデータ件数の80%は日本国内におけるデータなので、今後の課題は海外からのデータ登録件数を増やすことである。BiPでは、研究者によるデータの登録・利用を促進すると共に、一般市民、特に小中高生や大学生を対象とした環境教育への活用も目指している。そこで、さらなる利便性向上を目指し、新たな機能の追加や操作性の改善など、BiPを大幅に刷新した(https://www.bip-earth.com/ja)。具体的には、生物種、研究者、公開状態、期間などによる検索・絞り込み機能を拡充し、目的に適合するデータの発見可能性を向上させた。画像データの保存とサムネイルの公開機能も追加した。また、生物記録数、観測種数、時系列データ点数、移動軌跡点数などの統計情報を表示するとともに、登録された移動軌跡を一つの地図上で俯瞰し、種や公開状態に応じて識別・絞り込みできるようにして、蓄積データの規模、対象種の構成およびデータの空間的分布を総合的に把握できるようにした。 さらに、BiPの普及と新たなバイオロギングユーザーの開拓を目的に、研究計画を公募し、採択者にデータロガーを貸与すると共に、機器の使用やデータ解析を支援する「BiP Upプロジェクト」を2024年から実施している。今年度も本プロジェクトを継続し、幅広いユーザーへの普及を進めていく(https://help.bip-earth.com/bip-up-application/)。

13:40–14:00 is reserved as contingency time and for Young Researcher Award judging.

Poster Presentations

Guidelines

Posters must be portrait A0 (within 841 × 1189 mm). The organizers will provide portrait A0 display boards; presenters should bring a printed poster. All posters remain on display on both days; Oct 8 core times are divided by odd and even presentation numbers.

Sessions

  • Odd-numbered posters: core time: Oct 8 (Thu) 15:30–16:15
  • Even-numbered posters: core time: Oct 8 (Thu) 16:15–17:00
  • Open discussion and revisits for all posters: Oct 9 (Fri) 09:10–10:00

List of Posters

P01 Core time Oct 8, 15:30–16:15 (odd) ドローン投下により吸着する水風船内蔵型タグ 妻木勇一 山形大学 大学院理工学研究科 Open abstract Close abstract

Authors / Affiliations
◯妻木勇一,伊藤雅人,中居友恵,五十嵐凛,桒折莞多,阿部遥斗,三沢海季斗(山形大学),青木かがり(帝京科学大学),辻井浩希(OWA)

背景・目的

我々はマッコウクジラを対象に2019 年に世界で初めてドローンによるタグ装着を行った。ドローンからタグを投下・吸着させる方法である。海外では、FPVドローンを用いて、マッコウクジラへタッチアンドゴー方式で装着した例も報告されている。投下・吸着させる方法では、衝突に伴う跳ね返りを抑制する必要がある。そこで、水風船を用いた跳ね返り抑制機構を提案し、タグに内蔵してきた。本発表では、より長く、より深く吸着させるために新たに開発した水風船内蔵型タグの詳細と実地での検証結果について述べる。

材料・方法

開発した水風船内蔵型タグは、タグ内部に水風船が天井から吊り下げられており、衝突後に跳ね返る機体を少し遅れて水風船が抑え込むように働く。これにより、吸着性能が大きく向上した。ベローズ型吸盤を8個備えており、従来よりも2個増設した。ロガーは2種類搭載しており、一つは、動画・深度・水温・加速度が記録できるリトルレオナルド社製ビデオロガーであり、もう一つは、心電を記録するECG センサである。吸盤の1 つに、ECG ロガーの電極を組み込んである。運搬時や投下時に機体姿勢を水平に保つように設計した。

結果・考察

2026 年 7 月に小笠原諸島父島近海にて、マッコウクジラに対する実地試験を実施した。クジラに5 回投下し、3 回クジラ体表へ吸着した。このうちの2回でタグを左体側に装着し、深度700m以上の深い潜水と頭部を上向きにする浅い休息潜水 (平均持続時間12±4分、平均潜水深度 14±2 m)の一部で心拍数を計測できた。3回とも700 m以上の深度に到達し,内2回は2時間以上の吸着を実現した。最長で6 時間58 分の吸着が実現され、4回の深い潜水データが取得できた。

P02 Core time Oct 8, 16:15–17:00 (even) ウミガメ搭載カメラ映像を用いたクラゲ類等の物体検出モデル構築:長時間映像解析への適用と検出性能の検証 渡辺 伸一 麻布大学獣医学部 Open abstract Close abstract

Authors / Affiliations
◯渡辺伸一(麻布大学獣医学部)・佐藤克文(東京大学大気海洋研究所)

背景・目的

クラゲ類は海洋生態系において重要な役割を果たす一方、大量発生は漁業や発電施設に深刻な被害を与える。しかし、従来の音響探査や定点観測では、広域的かつ詳細な分布把握には限界がある。本研究では、動物搭載カメラによる映像を利用し、クラゲ類等を自動検出する物体検出モデルの開発を進めている。クラゲ類を含む複数クラスで8割以上の検出性能を示す物体検出モデルを構築した。本発表では、ウミガメ搭載カメラ映像を目視解析して得られた出現イベントを基準に、実際の長時間映像に適用した際のモデルの検出性能を検証した。

材料・方法

三陸沖でアカウミガメ3個体に装着したカメラから得られた計34.5時間の映像を対象とした。深層学習を用いて構築した物体検出モデル(再現率86.1%)を映像に適用し、3フレーム/秒でクラゲ類、魚類、浮遊生物、海洋ごみ等を検出した。一方、全映像を目視観察し、各対象物の出現開始・終了時刻と種類を1秒間隔で記録した。目視による出現イベントを正解データとし、各出現区間内で同一クラスが1フレーム以上検出された場合を正検出、生物学的に関連するクラスまで含めた場合を関連検出と定義し、それぞれの検出率を算出した。

結果・考察

目視で確認した168イベントに対する全クラスの正検出率・関連検出率は、29.8%・46.4%だった。クラゲ類では、その他の動物プランクトン類を含む関連検出率が65.7%と比較的高かった。一方、クシクラゲ類(関連検出率:13.3%)、ヒドロ虫類(18.2%)、サルパ類(13.3%)では検出率が低かった。クラゲ類は1回のイベントで撮影される時間が比較的長く、またイベント継続時間が長いほど検出率が高まる傾向がみられた。短時間の出現や学習データの不足が、クラス間の検出率の差に影響した可能性がある。

P03 Core time Oct 8, 15:30–16:15 (odd) 動物の単眼動画からの仮想IMUデータ生成と行動認識への適用に関する検討 迫泰樹 大阪大学大学院情報科学研究科マルチメディア工学専攻 Open abstract Close abstract

Authors / Affiliations
〇迫泰樹・大塚亮真・前川卓也(大阪大学大学院情報科学研究科マルチメディア工学専攻)

背景・目的

IMU(慣性計測装置)は,動物に装着することで観察困難な環境でも加速度・角速度を連続計測でき,これを用いた行動認識は行動生態学など様々な分野で重要である.しかし,行動認識モデルの構築に不可欠なラベル付きデータは,動物ではデータ収集の負担・制約などから大規模収集が困難である.そこで本研究では,人間の行動認識分野で注目される仮想センサによるIMUデータ生成手法を動物に応用し,動物の動画から仮想IMUデータを生成するパイプラインを構築することで,データ不足の解決を目指す.

材料・方法

提案手法では,まず動画生成モデルで行動を含む動画を生成し,VLMで行動ラベルを付与する.次に,2D骨格を推定して外れ値検知・補間・平滑化でノイズを除去し,4次元シーン復元モデルの深度とカメラパラメータで3D骨格へリフティングする.最後に,3D骨格に仮想センサを配置し,物理シミュレーションでIMUデータを生成する.評価では,ウマ18個体の公開データセット(8行動)で,少量の実データのみの場合と仮想データ(実:仮想=1:50)を加えた場合のF1-scoreをDeepConvLSTMで比較した.

結果・考察

実データが極めて少ない条件では,仮想データを加えることで多くの行動クラスの認識精度およびMacro F1-scoreが向上し,試行間のばらつきも抑制された.特に,実データのみではほとんど認識できなかったGallopingが認識可能となり,Trottingでも大きな向上が見られた.以上より,提案手法による仮想データは,動物の実データ不足を補う手段として有効であることが示唆された.今後は,類似行動間の分類精度の向上や異なる動物種への適用を検討する.

P04 Core time Oct 8, 16:15–17:00 (even) バイオロガーにおける加速度データとカメラを利用した行動目録の自動拡張手法の検討 黒岩恒在 大阪大学大学院 情報科学研究科 マルチメディア工学専攻 Open abstract Close abstract

Authors / Affiliations
○黒岩 恒在(大阪大学)・大塚 亮真(大阪大学)・杉山 響己(名古屋大学)・小山 偲歩(新潟大学)・井上 漱太(名古屋大学)・依田 憲(名古屋大学)・前川 卓也(大阪大学)

背景・目的

行動目録は動物行動研究の基盤であるが、直接観察が困難な野生動物では整備が難しい。ビデオロガーは有効な手段である一方、カメラの消費電力が大きく記録時間が限られる。周期的サンプリングでは頻出行動に記録が偏り、多様な行動を網羅できない。既存の選択的撮影手法は、対象種の事前データやラベル付け、手作業の特徴設計を要し、未知の行動を検出できない。本研究では、加速度から未観測の行動パターンを検出したときのみ撮影することで限られた電力で多様な行動を捉え、行動目録の拡張に資する映像データを記録する手法を提案する。

材料・方法

加速度から特徴を抽出する深層学習モデルを、行動様式の類似する別種のラベルなし加速度データで事前学習し、ロガーに搭載した。2秒ごとの特徴ベクトルをオンラインクラスタリングで逐次処理し、既存クラスタに属さない未観測の行動パターンを検出すると、カメラを1分間起動し、そのパターンを新規クラスタとして登録する。オオミズナギドリとウミネコでフィールド実験を、ホッキョクグマとアオウミガメの既存データでシミュレーションを行い、記録された行動の多様性をエントロピーで評価し、周期的サンプリングと比較した。

結果・考察

フィールド実験では、提案手法で記録された行動のエントロピーが周期的サンプリングの約2.3倍となった。休息や飛行などの頻出行動から採餌・水浴びなどの比較的稀な行動まで記録し、既存のビデオロガー研究で報告されていない行動も撮影された。シミュレーションでも、エントロピーはホッキョクグマで26.8%、アオウミガメで19.0%向上した。小型ロガー上で深層学習モデルを動作させ、その有効性を野外で実証した初の事例であり、対象種の事前データやラベル付けを要さず、多様な分類群に適用可能であることが示唆された。

P05 Core time Oct 8, 15:30–16:15 (odd) サンプリングモアレ法を用いた流速センサシステムによるウミガメの対水速度計測 中島崇雄 慶應義塾大学大学院 理工学研究科 総合デザイン工学専攻 Open abstract Close abstract

Authors / Affiliations
〇中島 崇雄(慶應義塾大学)・岸本 卓大(東京大学)・白鳥 俊宏(慶應義塾大学)・嶋田 恭大(慶應義塾大学)・青田 幸大(東京大学)・前田 亜悠莉(東京大学)・坂本 健太郎(東京大学)・佐藤 克文(東京大学)・高橋 英俊(慶應義塾大学)

背景・目的

海中動物の遊泳行動を理解するためには、動物自身の運動だけでなく、周囲の流れとの相互作用を捉えることが重要である。その評価において遊泳時の対水速度は重要な指標の一つであり、バイオロギング手法を用いて計測されてきた。近年、浮遊物が詰まることなく計測可能なピトー管型流速センサが提案されたが、センサ素子であるひずみゲージ式差圧センサの長期計測に伴うドリフトが課題となる。そこで本研究では、安定した長期計測に優れた光学式の計測手法を用いた流速センサを開発し、海中動物に搭載可能なシステムを構築した。

材料・方法

提案するセンサはベルヌーイの原理に基づき、差圧から流速を算出する。円筒チャンバ前後の2枚の膜の変形に伴う縞模様の変位を、光学式計測手法のサンプリングモアレ法により計測する。また計測用と参照用の縞模様を用いて、水圧や水温の影響による測定誤差を補償する。センサにシングルボードコンピュータとバッテリを接続してセンサシステムを構築した。システムの評価には、海洋を遊泳するアカウミガメを用いた。センサシステムと比較用プロペラロガーを背甲に装着して海岸から放流し、1–2時間後に装置を切り離して海上で回収した。

結果・考察

センサシステムは、物理的破損や計測停止なく回収に成功したため、海洋における運用可能性が示された。センサの計測値は、ウミガメの最大深度約15 mの潜水による水圧および水温の変化に対応して変動したが、計測用と参照用の縞模様の変位を差動的に取得することで、その影響は補償された。また補償後の値は、プロペラロガーの出力と概ね同様の傾向を示し、潜水開始時に速度が上昇する特徴も捉えられたことから、提案したセンサによりウミガメの遊泳中の対水速度変化を計測できる可能性が示された。

P06 Core time Oct 8, 16:15–17:00 (even) イベントベースビジョンセンサを用いたバイオロギングのための水中流速センサ 柴原拓真 慶應義塾大学大学院 理工学研究科 総合デザイン工学専攻 Open abstract Close abstract

Authors / Affiliations
◯柴原拓真(慶大)・岸本卓大(東大)・白鳥俊宏 (慶大)・嶋田恭大(慶大)・ 安藤竜生(慶大)・高橋英俊(慶大)

背景・目的

本研究では、イベントカメラ(EVS)を用いた小型水中流速センサを提案する。従来のスクリュー式やピトー管式の流速センサは、低流速域において感度が低下するため、遊泳速度が遅い生物の計測が困難であった。そこで、高時間分解能で輝度変化を検出するEVSを用い、気泡やデブリなどの自然粒子の軌跡長から流速を推定する。さらに、粒子軌跡長に応じてイベントの蓄積時間をフィードバック制御することで、低流速域における計測可能な速度範囲の拡大を目指し、小型水中流速センサの開発と評価を行った。

材料・方法

本研究で製作した流速センサは、円筒形流路、EVS(GenX320)、ラインレーザから構成される。センサの重量は380gとなっている。流路内部にラインレーザを照射し、その領域をEVSで観測することで、水中の気泡やデブリなどの自然粒子をトレーサとして検出する。EVSから出力されるイベントデータを一定の蓄積時間TAごとに積算して粒子軌跡を可視化し、得られた軌跡長Lと蓄積時間から流速Vを算出する。また、軌跡長が目標値に近づくよう蓄積時間をフィードバック制御し、流速に応じて計測条件を自動調整する。

結果・考察

回流水槽を用いて0.20~0.70 m/sの範囲で0.05 m/s刻みに流速を与え、各流速条件で5分間計測を行った。その結果、センサによる推定流速は与えた流速に対して線形な応答を示し、低流速域において計測可能な速度範囲を拡大できることを確認した。これらの結果より、今後は水中ドローンや対象動物への搭載を想定してセンサ形状や計測条件を最適化し、実環境における対水速度計測へ応用する。

P07 Core time Oct 8, 15:30–16:15 (odd) 光学手法を用いた自動荷重計測装置によるオオミズナギドリの雛の体重長期計測 栗原 茉椰 慶應義塾大学大学院 理工学研究科 総合デザイン工学専攻 Open abstract Close abstract

Authors / Affiliations
◯栗原茉椰(慶應義塾大学)・岸本卓大(慶應義塾大学)・白鳥俊宏(慶應義塾大学)・野村旺雅(慶應義塾大学)・佐藤克文(東京大学)・坂本健太郎(東京大学)・高橋英俊(慶應義塾大学)

背景・目的

オオミズナギドリの親鳥は遠方の海域まで飛翔して採餌旅行に出かけ,その間雛は絶食状態となる.絶食期間を経て成長する生態を解明するため,長期的かつ高頻度な体重計測が求められている.これまでに地中の巣内へ体重計を設置する試みが進められているが,湿潤かつ砂塵の多い環境へのセンサ素子の露出が問題となり長期記録には不向きだった.そこで本研究では,カメラを雛の居住部分から分離して配置し,荷重に伴う変位を非接触で計測する光学的手法を用いて,長期間の体重計測が可能な自動荷重計測装置の製作を目指す.

材料・方法

製作した装置の天板裏面中央に取り付けた縞模様をプリズムを介して撮影し,サンプリングモアレ法を用いて解析することで天板の鉛直方向への変位を求める.得られた変位に装置全体のばね定数を乗算することで,天板にかかる荷重を算出する.ここで,二つの異なる周期成分をもつ複合縞模様を用いることで,親鳥の帰巣時など,縞のピッチ幅を超える変位に対しても位相の折り返しによる影響を受けずに変位を計測できる.また,装置を二つ並べて設置し,光学系や気温に起因するドリフトの補正を図る.

結果・考察

岩手県山田町船越大島のオオミズナギドリ繁殖地において,二重構造の人工巣箱内部に荷重計測装置を設置した.5分に1回の頻度で画像データを取得し,SM解析を用いて雛の体重を計測した.装置は,小型船舶での無人島への移動や登山を伴う運搬および繁殖地への設置・撤収作業に耐え,降雨による湿潤な環境下において最長1週間にわたり独立して連続稼働した.この結果から,製作した装置の可搬性と野外運用に必要な耐久性が確認され,野外フィールドでの長期的な体重計測に向けたシステムの実用可能性が示された.

P08 Core time Oct 8, 16:15–17:00 (even) ウミガメの水中休息時に発生する頻脈:地域差と種差 石山遥香 東京大学大学院 農学生命科学研究科 水圏生物科学専攻 Open abstract Close abstract

Authors / Affiliations
◯石山遥香(東京大学)・齋藤綾華(国立極地研究所)・河合萌・呂律・青田幸大・石井理人(東京大学)・亀田和成(黒島研究所)・佐藤克文・坂本健太郎(東京大学)

背景・目的

アオウミガメでは、水中での休息時に急激に心拍数が上昇する現象(頻脈)が見られることがあるが、報告例は一部地域に限定されているうえ、他種では確認されていない。心拍数の上昇は酸素供給に影響したり、循環器系の異常を反映している可能性がある。さらに、種や地域によって頻脈の発生状況が異なる場合、その違いは各種の生態や生育環境に応じた循環調節の違いを反映している可能性がある。そこで、本研究では、アオウミガメとアカウミガメを対象とし、種間および地域間で頻脈発生の有無およびその特徴を比較した。

材料・方法

沖縄県黒島のアオウミガメ6個体、三陸沿岸域のアオウミガメ10個体とアカウミガメ5個体を用いて水槽実験を行った。心電図測定用の電極をウミガメの腹甲に貼り付け、背甲に心電図記録計と行動記録計を装着し、約2日間にわたって心電図、加速度、水温を測定した。加速度の大きさから、休息の有無を確認した。さらに、心電図波形から、心臓の収縮を反映するR波を検出し、瞬時心拍数を求めた。各個体の休息時瞬時心拍数の平均値+標準偏差×1を閾値とし、閾値を超える値が5拍以上連続した場合を頻脈と定義した。

結果・考察

頻脈が発生した個体は、黒島のアオウミガメで100%(6/6)、三陸のアオウミガメで50%(5/10)、三陸のアカウミガメで20%(1/5)だった。頻脈発生個体の頻脈発生頻度は群間で異なり、それぞれ5.8±3.2回/日、1.7±0.6回/日、0.8回/日だった。頻脈時の瞬時心拍数上昇の程度も群間で異なり、134±75%、62±65%、26±25%だった。いずれの群でも頻脈を伴う潜水は伴わない潜水に比べて潜水時間が長かった。以上より、頻脈の特性は潜水条件や種・地域の違いを反映していると考えられた。

P09 Core time Oct 8, 15:30–16:15 (odd) 加速度記録計を用いた飼育下キンメダイの行動分類と昇温に伴う行動変化 石田 大 東海大学海洋学部海洋生物学科 Open abstract Close abstract

Authors / Affiliations
◯石田 大(東海大海洋)・深川真規(東海大院海洋)・飯田尚輝(東海大海洋)・山田一幸(東海大海洋博)・鈴木宏易(東海大海洋博)・野田琢嗣(BLS)・藤岡紘(東海大海洋)

背景・目的

深海性魚類であるキンメダイは、通常8~13℃の水温環境に生息するが、日周鉛直移動に伴い短時間で水温変化を経験する。演者らはこれまでに、加速度記録計を装着した飼育個体を用いた昇温実験(14~27℃)により、活動度が22℃付近で最大となることを確認した。しかし、こうした活動度の変化が、具体的にどのような行動の増減によって生じるのかは明らかでなかった。そこで本研究では、加速度記録に基づく行動分類と映像による行動観察を組み合わせ、水温上昇に伴う行動変化を明らかにすることを目的とした。

材料・方法

キンメダイ3個体(体重440~480g)の腹腔内に三軸加速度記録計(LoggLaw C7XI、BLS社)を挿入し、遮光した円柱水槽(直径3m)で飼育した。実験期間は無給餌の馴致期と給餌を行いながら水温を14℃から27℃まで上昇させる昇温期(約1℃/日)に分けた。加速度を16Hz、深度および水温を1Hzで記録した。動的加速度に連続ウェーブレット変換を適用し、得られた周期と振幅特性を用いてk-means法により行動を分類した。さらに、映像による行動観察と照合し、各クラスターに対応する行動を解釈した。

結果・考察

2個体から17日間の加速度記録を取得した。映像との照合により、クラスター1は突発的な加速や急旋回、クラスター2は旋回や尾鰭遊泳、クラスター3は定位や胸鰭遊泳に対応した。馴致期にはクラスター3が高い割合を占めたが、昇温期には活動度の上昇に伴ってクラスター2の割合が増加し、水槽底層への移動も確認された。これらの結果は、昇温に伴う活動度の上昇が、単なる運動強度の増大ではなく、行動構成の変化を伴うことを示唆する。さらに、水槽底層への移動は、高水温環境に対する行動応答の一つである可能性がある。

P10 Core time Oct 8, 16:15–17:00 (even) 水温変化に対するブリの代謝応答と 心拍数を用いた代謝推定 森田善行 長崎大学大学院総合生産科学研究科 Open abstract Close abstract

Authors / Affiliations
○森田善行(長大院生産)・福西樹(長大水)・中村乙水(長大海セ)・河邊玲(長大海セ)

背景・目的

近年、夏季の高水温化に伴い、ブリ養殖の適地が北にシフトすると指摘されている。高水温が養生魚に及ぼす影響を理解する上で、水温に対する代謝応答を明らかにすることは重要である。ブリの生息水温範囲は既知であるが、水温と代謝の関係については理解が十分でない。また、酸素消費速度と心拍数の関係を明らかにすることで、生簀内を遊泳する魚の代謝推定への応用が期待される。そこで本研究では、複数の水温条件下で酸素消費速度と心電図を測定し、水温変化に対する代謝応答の評価と心拍数による代謝推定の可能性を検討した。

材料・方法

長崎県内の養殖事業者より購入したブリ4個体(体重0.65 ~ 2.1 kg)の腹腔内に心電ロガーを外科手術によって挿入した。手術からの回復後、酸素消費量測定チャンバーに収容し、水温を28 ℃から16 ℃まで3 ℃刻みで低下させ、各水温で酸素消費速度および心電図を同時に測定した。得られたデータから心拍数を算出し、一般化線形混合モデルを用いて水温に対する酸素消費速度の変化および心拍数と酸素消費速度の関係を調べた。

結果・考察

酸素消費速度は水温低下に伴い指数関数的に減少した。推定された安静時代謝速度は28℃で5.01 mg O₂ kg⁻¹ min⁻¹、16℃で1.53 mg O₂ kg⁻¹ min⁻¹、Q10は2.69であり、ブリにおいても代謝速度が水温の影響を強く受けることが示された。個体差がみられたものの、心拍数も水温低下に伴って減少し、32 ~142 bpmの範囲で変化した。酸素消費速度と心拍数には指数関数的な関係が認められ、心拍数がブリの代謝を推定するために有効な指標であることが示された。

P11 Core time Oct 8, 15:30–16:15 (odd) 行動的体温調節中の魚類の体内での熱の移動の推定 中村乙水 長崎大学海洋未来イノベーション機構 Open abstract Close abstract

Authors / Affiliations
○中村 乙水(長崎大学)・吉田明彦・山田守彦(いおワールドかごしま水族館)

背景・目的

動物はその時々に適した体温になるように体温調節を行う。深度方向に温度勾配が大きい海洋環境中に住む魚類は、深度を変えることで行動的体温調節を行うことができる。その際、加温時と冷却時で外界との熱交換率が変化することがわかっているが、その生理的メカニズムは不明である。そこで、行動的体温調節中の魚類の体内の温度勾配と心電図を計測して体内での熱の移動の定量化と生理的なメカニズムの考察を行った。

材料・方法

行動的体温調節を行う際の体温勾配を計測するために、外温性魚類であるマンボウ(Mola mola)7個体(全長90–119 cm)に身体の深さ方向に5cm間隔で3点の温度を計測できるように体温センサを設置して錦江湾に放流し、6個体からそれぞれ4〜6日間のデータを得た。うち1個体では心電図の計測も行い、QRS波を抽出してR-R間隔から心拍数を算出した。また、身体の深さ方向について一次元の非定常熱伝導によって熱が伝達しているとみなして体温勾配の変化を推定するモデルを作成した。

結果・考察

どの個体でも最深部の体温が最も速く変化するという現象が見られた。理由として、鰓腔内を通過する水の温度が体内から影響を及ぼすことが考えられる。心拍数は体温ではなく水温との対応が見られ、水温と相関するだけでなく加温時と冷却時の間でシフトしていた。体表に分厚い断熱性のある皮、体幹部に水温の流入、かつ加温時と冷却時で熱拡散率が異なるという条件を与えることで体温の実測値に近い挙動を再現できた。加温時と冷却時の熱拡散率の変化には、水温の変化に伴う心拍数のシフトが寄与しているものと考えられる。

P12 Core time Oct 8, 16:15–17:00 (even) 体温が海上生簀内のキハダの活動量に及ぼす影響 武智 恵美 東京大学大学院 新領域創成科学研究科 自然環境学専攻 Open abstract Close abstract

Authors / Affiliations
○武智恵美(東大院新領域)・長谷川貴章・阿部貴晃・神保忠雄・江場岳史(水産機構)・北川貴士(東大院新領域/大気海洋研)

背景・目的

地球温暖化に伴う海水温の上昇は、温帯性種に比べて熱帯性種に負の影響を及ぼすことが示唆されている。水温が活動量や成長へ及ぼす影響を把握することは、生息域の変化など、水温上昇に伴う応答を予測する上で重要である。加速度データに基づく活動量指標は、温度パフォーマンスの指標としても用いられている。そこで本研究では、3軸の動的加速度の二乗和の平方根であるVeDBAを活動量の指標とし、熱帯性のマグロであるキハダThunnus albacaresのVeDBAと体温との関係を明らかにすることを目的とした。

材料・方法

2024年11月~2026年5月に水産研究・教育機構水産技術研究所奄美庁舎の海上生簀内のキハダ17個体の腹腔内に、加速度ロガーを挿入した。ロガー装着時の尾叉長は38.8~73.7 cmであり、2週間~5カ月間計測した。3軸加速度の動的加速度からVeDBAを算出した。本種の体温は水温との差が1℃以下であることから、体温を水温の代わりとした。巡航遊泳時のVeDBAと体温の関係を検討するため、1時間ごとにVeDBAの平均を算出し、日間・個体間での平均のばらつきが小さかった午前2時台のデータを用いた。

結果・考察

午前2時台のVeDBAの中央値は0.013~0.122 g[重力加速度]、体温の中央値は季節的な水温変動を反映し、20.42~30.07℃であった。VeDBAの中央値を標準化し、体温との関係を調べたところ、20~28℃ではVeDBAと体温の間に明確な関係は認められなかったが、28℃以上では体温の上昇に伴いVeDBAが低下する傾向にあった。20~30℃は本種が野生下で経験する温度範囲であるため、28℃以上で確認されたVeDBAの低下は野外高水温下において本種の活動量が低下する可能性を示唆している。

P13 Core time Oct 8, 15:30–16:15 (odd) 飼育下サメ類における活動、水温および鎮静処置が心拍数に及ぼす影響 植手竜生 長崎大学大学院総合生産科学研究科総合生産科学専攻 Open abstract Close abstract

Authors / Affiliations
○植手竜生(長崎大学大学院)・中村乙水(長崎大学海洋未来イノベーション機構)

背景・目的

心拍数は魚類の活動、環境変化および取り扱いに対する生理応答の指標となる。サケ類での先行研究では追い回した際の心拍は安静時の約2倍まで上昇する。また、遊泳時の心拍数は15℃から23℃の水温上昇に伴い心拍数は約80bpmから約100bpmまで上昇する。このようにサケ類を中心に硬骨魚類のストレス因子に対する心拍応答の知見は多いがサメ類では報告が少ない。そこで本研究では飼育下のサメ類を対象に活動や水温、鎮静処置が心拍数に及ぼす影響を評価することを目的とする。

材料・方法

長崎港でスミツキザメを2023年11月に、アカシュモクザメを2026年8月に釣獲し屋外水槽で飼育した。スミツキザメは第一背鰭前部に装着したECGロガーのリード線の先端に虫ピンと吸盤で電極を作成し、胸部に貼り付けて自由遊泳中の心拍を水温、深度と共に2023年11月27日15時頃から約33時間記録した。アカシュモクザメには心電図ロガーを腹腔内に挿入した。挿入から90時間後にバンドで胴を拘束して鎮静化し、その48時間後に0.03%の2-フェノキシエタノールで麻酔にかけた時の心拍を水温と共に記録した。

結果・考察

スミツキザメの心拍数は水温変化と同調して約39~46bpmで変動した。着底時は遊泳時に比べ心拍数は約2bpm低下していた。アカシュモクザメの心拍数はロガー挿入後、日ごとに最大値を低下させ拘束前の自由遊泳時は79bpm、拘束と麻酔それぞれの安静時は約53bpmと約50bpmであった。水槽に戻すとどちらも約100bpmまで上昇した。捕獲によるストレス後の安静時は運動の停止と薬理作用により心拍が低下し、回復後の上昇には運動の再開と取り扱い刺激が関与した可能性がある。

P14 Core time Oct 8, 16:15–17:00 (even) MiniPATで記録された3秒に1点の加速度データは 魚類の活動指標として使えるか?:予備的考察 竹口真奈 長崎大学大学院 総合科学研究科 海洋未来科学コース Open abstract Close abstract

Authors / Affiliations
○竹口 真奈(長大院生産)・大脇拓洋(長大院生産)・中村乙水・河邊玲(長大海セ)

背景・目的

加速度データロガーは動物の動きと活動量を定量化するために強力なデバイスであり、多くの知見を提供してきたが、短期間の記録に留まる。一方、MiniPATは半年以上の加速度記録を得ることができるが、測定間隔は3秒に留まり、高周期の加速度記録に比べて得られる情報が限られると考えられている。そこで本研究では、3秒間隔の加速度データから魚類のどのような動きと活動を記録できるかを検証するための最初の取り組みとして、20 Hzで3軸加速度を計測したデータを用いて活動量の指標にどの程度有効かを予備的に検証した。

材料・方法

ヒラマサに加速度データロガーを装着し、2日間放流して得た20 Hzの3軸加速度データを解析した。3秒間隔の加速度では尾びれ振動の抽出は困難であり、20 Hzの加速度を3秒間隔にダウンサンプリングし、各軸の加速度の二乗和の平方根であるMagnitude of Acceleration(MA)を求めた。次にMAを異なる時間窓(30秒 - 60分)で集約し、各時間窓における積分値と標準偏差を算出した。MA指標と20 Hzの加速度から算出した各軸の動的加速度の二乗和の平方根であるVeDBAを比較した。

結果・考察

全時間窓でMAの標準偏差とVeDBAの間に正の相関が認められた。一方、ダウンサンプリングを開始する点を変化させると相関係数に差が生じた。20Hzの元波形上に3秒間隔の点をプロットしたところ、波形の山や谷部分と基線上に点が乗る場合があり、MAがVeDBAに対し過大あるいは過小評価となることが疑われた。さらに、5分窓のMA標準偏差と尾鰭振動数・尾鰭振幅・遊泳速度の各積分値との相関は認められず(r=0.09,-0.18,-0.46)、3秒間隔の加速度記録から運動状態を再現するは難しいと示唆された。

P15 Core time Oct 8, 15:30–16:15 (odd) クロマグロ未成魚における長期心拍計測に適した心拍ロガー装着条件の検討 竹内来波留 東海大学大学院海洋学研究科海洋学専攻 Open abstract Close abstract

Authors / Affiliations
◯竹内来波留(東海大院海洋)・阿部貴晃(水産機構資源研)・深川真規・林七海(東海大院海洋)・福田漠生(水産機構資源研)・野田琢嗣(BLS)・北川貴士(東大院新領域/大気海洋研)・藤岡紘(東海大海洋)

背景・目的

マグロ類は高い代謝要求に見合う大きな心臓を有するが、自由遊泳下での循環生理に関する知見は限られる。近年開発された腹腔挿入型の心拍ロガーでは、心電図(ECG)から心拍数(HRauto)が逐次算出され、HRautoと算出に用いたECG波形の品質指標(QI)のみを記録すれば、心拍数を長期間計測できるようになった。HRautoの正確さはQIに依存し、QIはロガーの装着位置に影響される。本研究では、クロマグロで (1)ロガー装着位置が心拍記録の正確性に及ぼす影響を検討し、(2)心拍数の長期計測を試みた。

材料・方法

2025 年12月(実験1)と翌年6〜9月(実験2)に、14個体のクロマグロ(平均尾叉長45.6 cm)の腹腔内に心拍ロガー(DST micro-HRT)を装着した。実験1では、ECGとHRauto、QI(0〜3,0,1が高品質)を記録し、HRautoの正確さを評価するために、ECGから算出した心拍数との差(ΔHR)を求めた。装着位置は、胸鰭基部からロガー後端までの距離を尾叉長で除した相対値(R)で評価した。実験2ではHRautoとQIのみを記録し、QI0または1が占める時間割合を求めた。

結果・考察

実験1で、心臓近位のR=0.06〜0.14に装着した個体では90%以上の時間割合が高QI(0,1)であり、ΔHRも平均2.67bpmと小さかったが、より遠位では31%以下となり、ΔHRも平均12.8bpmとなった。実験2では、Rが0.01〜0.04の個体では高品質の記録90%以上だった。しかし、R<0.01の個体では25.7%となり、これは心臓に近すぎると ECG の振幅が測定範囲を超えたためと考えられ心拍数の長期計測には心臓に接近しすぎない位置へのロガー装着が適すると示唆された。

P16 Core time Oct 8, 16:15–17:00 (even) 餌に向かってまっしぐら: アデリーペンギンの浮上接近行動 奈良海希 長崎大学大学院 総合生産科学研究科 総合生産科学専攻 Open abstract Close abstract

Authors / Affiliations
◯奈良海希(長崎大学)・ 國分亙彦(国立極地研究所)・高橋晃周(国立極地研究所)・ 今木俊貴(総合研究大学院大学)・河端雄毅(長崎大学)

背景・目的

潜水する肺呼吸動物は限られた酸素貯蔵量と潜水時間の制限下で捕食を行うため,効率的な捕食が求められる.ペンギンの捕食については様々な研究がされてきたが,餌にどのように接近するかについての定量的な理解は十分でない.本研究では、単独で存在した餌の捕食に着目し,アデリーペンギン(Pygoscelis adeliae)が,どこで餌に向かって直線的に定位し,どのように餌に接近したかの解明を目的とした.

材料・方法

アデリーペンギンに動物装着型ロガーを装着した. 9個体からビデオ・3軸加速度・深度データ,うち2個体では3軸地磁気データも得た.全個体で餌(魚類・イカ類・クラゲ類)を捕食した直前の3秒間と,全潜水データからランダムに抽出した3秒間の深度と深度変化を比較した.さらに,2個体では,ペンギンが餌を発見した点を推定するため,3D潜水経路を再構築したのち,捕食した地点に向かって経路が直線的に変化した点(breakpoint)を求めた.また,獲物への接近中において,運動量の指標であるVeDBAを求めた.

結果・考察

捕食直前の3秒間では,全潜水データからランダムに抽出した3秒間と比べて,有意に浅く,大きく浮上していた.さらに,3D潜水経路を求めた2個体では,23/25の捕食イベント(92%)でbreakpointが浮上開始点と一致した(平均浮上深度: 6.32±3.63 m).また,19/25イベント(76%)でbreakpointから捕食までの接近段階でVeDBAが減少した.以上の結果より,アデリーペンギンは獲物に浮上しながら接近し,その過程で羽ばたきが弱まることが示唆された.

P17 Core time Oct 8, 15:30–16:15 (odd) 台湾東岸・駿河湾でのヨシキリザメの移動と表層海流の関係 水嶋亮太 九州大学大学院工学府船舶海洋工学専攻 Open abstract Close abstract

Authors / Affiliations
○Ryota Mizushima(九州大学)・Norie Tokunaga(独立研究者)・Soma Tokunaga(ハワイ大学)・Shian-Jhong Lin(Fisheries Research Institute, Taiwan)・Wei-Chuan Chiang(Fisheries Research Institute, Taiwan)・Yuuki Y. Watanabe(総合研究大学院大学)

背景・目的

ヨシキリザメは外洋を広く移動するが、黒潮流域のような強い海流のもとで、その移動がどの程度流れに左右されるかは明らかでない。衛星追跡で得られる対地移動には遊泳と海流による輸送がともに含まれる。本研究では台湾東岸と駿河湾で追跡した個体の移動を記述するとともに表層海流を差し引いた移動の速さと方向の持続性を調べ、海流だけで移動を説明できるかを検討した。

材料・方法

2024年に台湾東岸と駿河湾でヨシキリザメ計8個体にArgos送信機を装着し、基準を満たす5個体543位置を解析した。位置間隔3~24時間の221区間について、経路に沿って平均した表層流速ベクトルを対地速度から差し引き、海流相対速度を推定した。流速四分位群ごとに下流向きの移動割合と相対速度の大きさを求め、流速が最大の群では位置・海流誤差だけから生じる値と比較した。また、連続する89組の区間で海流を差し引く前後の方向転換角を比較した。

結果・考察

4個体が南~南西へ移動し、1個体は日本南方に留まった。流速が最小・最大の群では海流と逆向きの移動が各63.6%、78.6%を占めた。最大群の海流相対速度の中央値は0.59 m/sで海流と同程度であり、仮定した誤差だけによる予測値の2.8倍だった。連続区間の方向転換角は海流を差し引くと小さい角度に集中した。これらは、表層流による輸送だけでは移動を説明しきれないことを示唆する。ただし、海流相対速度は遊泳の直接測定ではなく、潜水中の流れや海流推定誤差の影響が残る。

P18 Core time Oct 8, 16:15–17:00 (even) アオウミガメのアンキアライン河川利用と環境条件 松川夕華 琉球大学大学院 理工学研究科 海洋自然科学専攻 Open abstract Close abstract

Authors / Affiliations
○松川夕華(琉球大学)・Jeffrey Jolly(OIST)・河合萌(東京大学)・佐藤克文(東京大学)・James Davis Reimer(琉球大学)・Timothy Ravasi(OIST)

背景・目的

アオウミガメChelonia mydasは主に沿岸域を利用する海棲爬虫類であるが、海外の一部地域では河川への侵入が確認されている。しかし、どのような環境条件で河川を利用するのかについては十分に解明されていない。本研究では、沖縄県の海水と淡水が混合するアンキアライン河川を遡上するアオウミガメを対象に、野外観察とバイオロギングを用いて、アオウミガメの河川利用の実態解明を目的とした。

材料・方法

沖縄県のアンキアライン河川にて2026年1月より毎月、大潮・中潮・小潮の満潮前後2時間(1日2回・1回4時間)の目視観察と月に1回の藻類被度調査を実施した。併せて鱗板を用いた個体識別により、河川利用個体を記録した。そしてアオウミガメの河川利用と潮位・時間帯・藻類被度との関係をGLMMで解析した。また、河川を遡上してきたアオウミガメ7個体を捕獲し、甲長と体重の計測を行い、BCIを計算した。うち1個体にカメラ・塩分・加速度ロガーを3回装着し、塩分・水温・滞在深度・加速度・遊泳速度を記録した。

結果・考察

合計8個体の河川利用が確認され、利用確率は高潮位時および夜間に高いということが明らかになった。藻類被度の効果は認められなかった。BCI計算の結果、全ての個体の栄養状態が良好であった。バイオロギングの結果、河川侵入に伴い塩分が約3.2%から約0.3%、水温が約26℃から約22℃へ低下し、河川内に約60分間の滞在が確認された。また、朝夕に活動が活発になる傾向が確認された。これらのことから、アオウミガメの河川利用には、活動性だけでなく潮位や時間帯に伴う環境条件の変化が関与している可能性が示唆された。

P19 Core time Oct 8, 15:30–16:15 (odd) アカウミガメの睡眠パターンの個体内・個体間変異およびエネルギー要求量との関係 青田幸大 東京大学大学院農学生命科学研究科水圏生物科学専攻 Open abstract Close abstract

Authors / Affiliations
〇青田幸大(東大院農)・阪井紀乃(東大大海研)・齋藤綾華(極地研)・福岡拓也・佐藤克文・坂本健太郎(東大大海研)

背景・目的

睡眠は野生環境下において、採餌や移動といった覚醒行動との時間的トレードオフの中で柔軟に調整されると予想される。しかし、睡眠要求とエネルギー要求のバランスに応じて睡眠量が変化することを操作実験により野外で実証した例はほとんどない。操作実験の実施に必要な単独・外温の特性を有するアカウミガメ(Caretta caretta)を用いて、本研究では、まず飼育下で行動学的な睡眠判定基準を検証した。さらに、その基準を野外個体に適用することで睡眠パターンを定量し、野外における睡眠量がエネルギー要求に応じて変化するかを検討した。

材料・方法

2014–2026年に三陸沿岸域の定置網で混獲されたアカウミガメを実験に用いた。睡眠は、日周性、反応性の低下、睡眠剥奪後のリバウンドといった観点を確かめることで同定できる(行動睡眠)。まず飼育下において、心電図ロガーおよび加速度ロガーを装着し、静止行動が睡眠に相当するかを検証した(n=33)。次に、得られた判定基準を用いて飼育下(n=14)および海洋へ放流した個体(n=14)の睡眠行動を推定した。さらに一部の個体(n=13)では、放流前に給餌する群と絶食させる群を設け、摂餌状況の違いが睡眠量に及ぼす影響を検討した。

結果・考察

飼育下では、活動量と心拍数の日周変化、長時間静止時の刺激応答の低下、静止行動剥奪後の静止時間延長が確認されたことから、睡眠の存在が示唆された。飼育実験での結果をもとに睡眠時間割合を推定したところ、飼育下で1日平均52%(17–74%)、野生下で平均9%(0–35%)で、野生下での個体内変異が大きかった。摂餌量操作実験では、絶食群で給餌群より睡眠量が70%少なかった。この結果は、採餌の必要性が高まることで睡眠が抑制される可能性を示しており、睡眠がエネルギー要求とのトレードオフの中で調節されることを示唆している。

P20 Core time Oct 8, 16:15–17:00 (even) ウミネコの抑制制御と採餌行動の関係 南香帆 名古屋大学大学院環境学研究科地球環境科学専攻 Open abstract Close abstract

Authors / Affiliations
◯南 香帆(名古屋大学)・杉山 響己(名古屋大学)・井上 漱太(名古屋大学)・水谷 友一(人間環境大学)・後藤 佑介(名古屋大学)・依田憲(名古屋大学)

背景・目的

動物が効率的に移動するためには、外部情報に対する反応調節が重要である。抑制制御は、目前の刺激に対する衝動的な運動反応を制御する認知機能であり、移動時には不要な反応を減らすことで、移動の継続や方向の維持に寄与しうる。そのため、抑制制御の個体差は細かな移動パターンに反映され、その積み重ねがトリップ全体の移動パターンにも関わる可能性がある。しかし、抑制制御と野生動物の移動との関連を検証した研究は少ない。本研究では、ウミネコの抑制制御能力と、2つの時空間スケールにおける移動特性の関係を検証した。

材料・方法

青森県の蕪島にて、計13羽の繁殖個体に対し抑制制御タスクとGPSロガー装着を行った。抑制制御タスクでは、個体が透明な筒の壁面をつつく反応を抑え、開口部まで迂回して餌を獲得できるかを評価した。各個体に10試行実施し、筒をつつかず餌を獲得できた試行割合を成績指標とした。移動特性のうち微細スケールでは、隠れマルコフモデルにより5分間の移動距離・旋回角度から行動状態を推定し、成績と移動特性・状態の持続性との関連を解析した。トリップスケールでは、総移動距離、最大到達距離、トリップ時間との関連を検証した。

結果・考察

微細スケールでは、抑制制御タスクの成績が高い個体ほど、飛行時の5分間の移動距離が長く、旋回角度が直進方向に集中し、飛行状態を長く継続する傾向がみられた。これらの結果は、外部刺激への即時的な運動反応を抑える機能である抑制制御が、移動方向や行動状態の維持に寄与している可能性を示す。一方、タスク成績はトリップスケールの総移動距離、最大到達距離、トリップ時間とは明確な関連を示さなかった。以上から、抑制制御の個体差は、トリップ全体の距離や時間よりも、微細なスケールの移動特性に表出することが示唆された。

P21 Core time Oct 8, 15:30–16:15 (odd) オオミズナギドリの津軽海峡周辺における風に対する移動戦略 近藤美有宇 名古屋大学大学院環境学研究科地球環境科学専攻 Open abstract Close abstract

Authors / Affiliations
○近藤美有宇(名古屋大学大学院)・武田航(名古屋大学大学院)・小山偲歩(新潟大学)・依田憲(名古屋大学大学院)・後藤佑介(名古屋大学大学院)

背景・目的

飛翔する鳥の、風に対する応答について、目的地の決まっている移動経路との関係に着目する研究が多い一方、採餌のように探索的な移動に対して風がどの程度の影響を及ぼすかは、十分に分かっていない。本研究では、採餌トリップ中のオオミズナギドリCalonectris leucomelasの津軽海峡周辺での行動と風環境の関係に着目した。海峡への追い風は飛行コストを低下させる可能性があるため、海峡通過率を高めると予測した。また、通過率に雌雄差が生じると報告されており、雌雄で風の効果に差があるかについて検証した。

材料・方法

対象種は新潟県粟島で繁殖するオオミズナギドリで、2008-2025年にGPSロガーを用いて記録された経路データを使用し、繁殖地から3km以上の地点に6時間以上滞在した点を、採餌トリップとして抽出した。津軽海峡から100km圏内に接近したトリップについて、海峡通過の有無を判定した。風は、ERA5の1時間1点の風データを補完して使用した。鳥が海峡に接近した地点の風ベクトルと海峡方向への単位ベクトルとの内積を追い風成分とし、追い風や性別が通過確率を変化させるかベイズ一般化線形混合モデルにより検証した。

結果・考察

海峡通過についてオスの通過率は73.6%、メスの通過率は40.9%であった。モデル解析でも、オスはメスに比べ有意に海峡通過率が高かった。一方で、追い風による効果の事後推定値は正であったが、95%信用区間は0を含み、明確な効果は確認できなかった。また、雌雄への追い風の効果にも有意な差は無かった。以上の結果から、オオミズナギドリの採餌における移動は、風環境に左右されないと考えられる。雌雄で通過率に差がある要因については、さらなる検証が必要である。

P22 Core time Oct 8, 16:15–17:00 (even) Estimating Coastal Winds via Flight Trajectories and Thermal Soaring of Gulls JUNG Yunwon 東京大学大学院 新領域創成科学研究科 自然環境学専攻 Open abstract Close abstract

Authors / Affiliations
○Yunwon JUNG・Shunya HASEGAWA・Yasuna TANAKA・Kentaro SAKAMOTO・Katsufumi SATO University of Tokyo, Atmosphere and Ocean Research Institute

Background / Objectives

Although satellite and terrestrial data are primarily utilized, localized errors would likely occur along ria coasts due to low spatiotemporal resolution caused by land-sea interfaces and complex topography. Previous studies have extracted wind data from dynamic soaring flights of streaked shearwaters. This study utilizes coastal Larus gulls as model species. If wind estimation from the flight of L. crassirostris (Japan, Korea, China) and L. schistisagus (northern Japan) are achievable, then predicting coastal winds in observationally constrained areas may become feasible.

Materials / Methods

Data were collected from 13 gulls [L. crassirostris, n = 8 (mean body mass: 538.1±82.5g); L. schistisagus, n = 5 (mean body mass: 1119.0±255.7g)] captured via noose-mat traps in Kamaishi, Iwate Prefecture, between September and November 2025, and in September 2026. Individuals were equipped via harness with loggers (LEGO, druid Technology Co., Ltd., 25.5g) that facilitate continuous data collection without retrieval through solar charging and cellular network transmission. 1-Hz GNSS data sampled during specific daylight windows. Wind estimations derived from thermal soaring and flight trajectories were adapted from prior models (Yonehara et al., 2016; Treep et al., 2016).

Results / Discussion

comparative analysis was conducted utilizing wind estimations derived from thermal soaring, flight trajectories, and ERA5 reanalysis data. Preliminary observations indicate that gulls occasionally performed thermal soaring, and the directional drift of the rotation center would appear to facilitate wind direction estimation. If thermal soaring involves non-flapping flight, then wind vectors would likely be reflected without airspeed variations. Conversely, flight trajectory estimates likely incorporate airspeed variations induced by flapping. Furthermore, discrepancies between thermal soaring estimates and ERA5 data (10m altitude) would probably occur due to altitudinal wind differences generated by the Ekman spiral.

P24 Core time Oct 8, 16:15–17:00 (even) 繁殖地周辺の定置網はウミネコの主要な利用場所か 田中靖奈 東京大学 大気海洋研究所 行動生態計測グループ Open abstract Close abstract

Authors / Affiliations
◯田中靖奈(東大大海研)・JUNG Yunwon(東大大海研)・長谷川隼也(東大大海研)・上坂怜生(北大水産)・佐藤克文(東大大海研)

背景・目的

岩手県山田町の船越大島では、設置された定点カメラの記録から、近年ウミネコの数が増加傾向にあり、実地調査で多数の巣や卵が確認されている。カモメ類は定置網をはじめとする漁業由来の餌資源を利用することが知られている。船越大島周辺には多数の定置網が設置されている。しかし、船越大島で繁殖するウミネコが繁殖期に定置網をどの程度利用しているかは明らかになっていない。そこで本研究では、船越大島で繁殖するウミネコを対象に、定置網の利用頻度や滞在時間、利用時の活動状態を明らかにすることを目的とした。

材料・方法

2025年7月に岩手県釜石港、および2026年5月に岩手県山田町の船越大島で、ウミネコの成鳥を合計6羽を捕獲し、ハーネスを用いてGPSロガーを装着することで、2026年5~7月にかけて行動を追跡した。ロガーからは、位置データ、三軸加速度から計算される活動量の指標であるOverall Dynamic Body Acceleration(ODBA)が得られる。各定置網が入るように設定した円を定置網の利用範囲とし、その中にGPS測位点が連続して2時間以上記録された場合を定置網利用と定義した。

結果・考察

船越大島で繁殖するウミネコは、定置網が設置された沿岸域だけでなく、1個体を除いて毎月複数回は沖合にも移動していた。島外滞在時間のうち、定置網利用の時間割合は10%未満であった。1回のトリップの最大到達距離は、平均9.6±9.9 km、最大57.7 kmであった。繁殖地に近い定置網は、移動コストの小さい利用場所と予想したが、利用は限定的であった。利用場所の選択には、繁殖地からの距離だけでなく餌資源の利用可能性なども関係し、移動コストを伴っても沖合を利用する可能性が示唆された。

P25 Core time Oct 8, 15:30–16:15 (odd) 加速度データロガーを用いたアライグマの行動類型判別の試み 吉岡 憲成 株式会社KANSOテクノス 環境事業部 Open abstract Close abstract

Authors / Affiliations
◯吉岡憲成(株式会社KANSOテクノス)・石塚譲(大阪府立環境農林水産総合研究所)・幸田良介(大阪府立環境農林水産総合研究所)・原口岳(大阪府立環境農林水産総合研究所)・高橋能理子(到津の森公園)・二井綾子(到津の森公園)・片石隆斗(株式会社KANSOテクノス)・中野一樹(株式会社KANSOテクノス)・長島文香(株式会社KANSOテクノス)

背景・目的

侵略的外来種の効果的な防除において、対象種の行動把握(いつ、どこで、どのような行動をしているか)が必要である。アライグマについては、GPSテレメトリー調査により、いつ、どこにいるのかの把握事例がある。一方、その場所での詳細な行動内容は十分に解明されていない。陸棲哺乳類における直接観察が困難な動物の行動把握はロガー等の回収の困難さから適用が進んでいない。そこで、野外アライグマの行動解明を目的に、まずは観察が容易な飼育個体を対象にバイオロギングによる行動の判別可能性を検討した。

材料・方法

2024年12月に到津の森公園(北九州市)の飼育個体2頭(LB、PNK)に、定期健康診断の機会を利用して麻酔下で3軸加速度ロガーを装着、回収し、飼育舎内における日中活動(10時~16時)の3軸加速度データを取得した。また、飼育舎の周囲4箇所にビデオカメラを設置し、同時間における行動を記録した。撮影映像からアライグマの行動類型を判別し、各行動類型の生起時刻及び終了時刻を記録した。3軸加速度データから部分ベクトル動的加速度 (VeDBA)を算出し、行動類型毎に特徴的な傾向の有無を検討した。

結果・考察

行動の半分以上は[休息][歩行]であった。地表以外の行動である[上り]/[下り] はLBで2.4%/3.4%、PNKで2.4%/0.8%であった。VeDBAは、2個体に共通したデータ分布を示し、行動類型の動きの激しさにより分布のピーク、裾の広がりが異なった。また、[上り][下り]などで、3軸成分とVeDBAに特徴的な波形を確認した。いずれも[歩行]よりも大きな振幅をもち、特に[下り]は行動時間の終盤により大きな振幅を持つ特徴が見られた。3軸成分とVeDBAから行動類型の予測可能性が示唆された。

P26 Core time Oct 8, 16:15–17:00 (even) ノラネコの空間利用と個体間近接 前原 優希 麻布大学大学院 獣医学研究科 動物応用科学専攻 Open abstract Close abstract

Authors / Affiliations
〇前原 優希・山本 誉士・塚田 英晴(麻布大学 野生動物学研究室)

背景・目的

動物の個体間関係は、餌場など複数個体が集まる場面での直接観察から検討されることが多い。一方、観察範囲外の自由行動下で、個体がどのように空間を利用し、他個体と近接しているかは捉えにくい。そのため、自由行動下での行動が観察される個体間関係とどの程度関わっているかは十分に分かっていない。そこで本研究では、田代島のノラネコを対象に、GPSから自由行動下の空間利用と個体間近接を明らかにし、今後、餌場で観察される行動と照合することで、両者の対応関係を検討することを目的とした。

材料・方法

宮城県石巻市田代島「島のえき」周辺の識別可能なノラネコ18個体(オス10個体、メス8個体)を対象とした。約14 gのGPSロガーを首輪に固定し、朝夕の給餌時に装着・回収して約4日間の位置データを取得した。給餌時間帯を除外し、95%KDEにより行動圏面積を推定した。また、30分以内に同時測位できた2個体が5 m以内に位置した場合を近接とし、個体ペアごとに近接カッパ係数を算出した。行動圏面積の性差を調べ、Jaccard行動圏重複率、性別組み合わせおよびその交互作用と近接カッパ係数の関係を解析した。

結果・考察

行動圏は0.082~10.756 haと個体差があったが、雌雄差はみられず、安定した給餌がある環境では性差より個体差が表れやすいという先行研究と一致した。重複率が高い個体組み合わせほど近接カッパ係数は高くなる傾向があった一方、全体約8割の個体組み合わせで近接カッパ係数は負の値を示した。このことから、行動圏が重なるほど近接しやすさは相対的に高まるものの、多くの個体組み合わせで近接は意図的に避けられている可能性がある。個体間近接には重複率だけでなく、血縁関係や避妊・去勢なども関与する可能性がある。

P27 Core time Oct 8, 15:30–16:15 (odd) 温暖化が進む北極域フィヨルドにおけるゼニガタアザラシ(Phoca vitulina)の採餌生態 石原有乃 総合研究大学院大学 先導科学研究科 生命共生体進化学専攻 Open abstract Close abstract

Authors / Affiliations
〇石原有乃(総合研究大学院大学)・渡辺佑基(統合進化科学研究センター)

背景・目的

北極域のスバールバル諸島では、近年急速な温暖化と海氷減少が進み、海氷上で繁殖・休息するワモンアザラシやアゴヒゲアザラシへの影響が懸念されている。一方、温帯域にも広く分布し、陸上で繁殖するゼニガタアザラシは分布を拡大し、同諸島のコングスフィヨルドでも周年確認されている。しかし、本種が同海域でどのような場所と餌を利用し、採餌・休息・上陸を組み合わせて生活しているかは不明である。本研究はビデオと行動記録から、その生息地利用、特に採餌生態を明らかにすることを目的とした。

材料・方法

2024年および2025年5月に、ノルウェー領スバールバル諸島のコングスフィヨルドで、ゼニガタアザラシ11個体に動物搭載型ビデオカメラと深度・加速度記録計を装着した。映像から採餌、休息、その他の潜水を判定し、採餌時の潜水深度、海底環境、餌生物、捕食行動および海氷下での行動を記録した。また、2025年に得られた6個体のGPS位置を用い、採餌・休息・上陸場所の分布、個体ごとの利用海域および最寄り海岸までの距離を調べた。

結果・考察

採餌は主に50-100 mの海底付近で行われた。樹状底生生物群集、裸地、岩場を泳いで探索し、構造物から飛び出す魚を頭部を激しく動かして追跡した。映像ではカジカ類に似た小魚、寒冷環境に適応した底生性の細長い魚、カレイ類などが確認され、複数の餌生物を利用していた。さらに海氷下でも採餌し、海氷に空いた孔で呼吸している個体も確認された。採餌は中央部に多かったが、利用海域は個体で異なった。多様な海底環境と餌を利用し、海氷の残る場所でも活動できる柔軟性が、温暖化の進む同海域での生息を支えると考えられた。

P30 Core time Oct 8, 16:15–17:00 (even) マンボウの呼吸様式の切り替えと体深部体温変化率の関係 齋藤美彩季 長崎大学大学院総合生産科学研究科総合生産科学専攻 Open abstract Close abstract

Authors / Affiliations
〇齋藤美彩季(長崎大学)・中村乙水(長崎大学)・坂本健太郎(東京大学)

背景・目的

魚類の体温は体表からだけでなく、鰓を通る海水の影響を受けて体内から変化することがわかってきた。つまり、鰓呼吸によって体温を制御している可能性が示されている。鰓呼吸には、鰓蓋運動による鰓ポンプ呼吸と、前進によって鰓に水を流すラム呼吸があるが、体温変化に与える影響に違いがあるかは分かっていない。そこで本研究はマンボウを対象として、呼吸様式の違いによって体深部の体温変化率に差が生じるかを調べることを目的とした。

材料・方法

2025年7月に岩手県船越湾で捕獲したマンボウ1個体(全長69 cm)に、行動記録計と体温計、心電図ロガーを装着した。行動記録計は3軸加速度、体温計は体表から1・6・11 cmの体温を測定した。心電図ロガーで得られた波形から鰓蓋運動の電位を抽出して、その間隔から鰓ポンプ呼吸の頻度を求めた。遊泳速度は低速で測り切れない期間があったため、加速度より算出したストローク頻度と呼吸様式の切り替えの関係を調べた。そして、深部体温および水温を用いて温度差に対する体温変化率を算出し、呼吸様式との関係を調べた。

結果・考察

鰓ポンプ呼吸とラム呼吸を判別することができ、鰓ポンプ呼吸時の頻度は毎分50~70回だった。鰓ポンプ呼吸はストローク頻度が0.4 Hz未満になると生じる傾向が見られた。海面で停止している間は鰓ポンプ呼吸を行っていたが、潜水開始と同時に鰓ポンプ呼吸を停止し、潜水中は低い体温変化率を示した。浮上を開始すると、海面付近で鰓ポンプ呼吸を開始する前の体温が水温を上回った時点から体温変化率の上昇が見られた。したがって、体深部の体温変化率の変化は呼吸様式の切り替えだけでは説明できないことが示唆された。

P31 Core time Oct 8, 15:30–16:15 (odd) ウミネコの渡りにおける空間的保守性と時間的柔軟性 小出胤樹 名古屋大学大学院環境学研究科地球環境科学専攻 Open abstract Close abstract

Authors / Affiliations
◯小出胤樹・杉山響己(名古屋大学大学院)・水谷友一(人間環境大学)・後藤佑介・依田憲(名古屋大学大学院)

背景・目的

野生動物の渡りにおいて、既知の場所や経路を再利用すれば探索コストを低減できる一方、年変動する環境に対応するには行動の柔軟な調整も必要となる。これまで渡りの研究は長距離の渡りを中心に研究されてきたが、比較的短距離の渡りでは目的地が近く移動コストも小さいと考えられるため、時空間の両面で柔軟性が高いと予測した。そこで本研究では、渡りの範囲が主に国内にとどまる海鳥である青森県蕪島で繁殖するウミネコを対象に、渡りの時空間的な個体内一貫性を明らかにした。

材料・方法

⻘森県蕪島で繁殖するウミネコ(Larus crassirostris)に対しGPSロガーを装着し、非繁殖期の移動を記録した。繁殖地から離れた日(離島日)から、次の繁殖にむけて繁殖地に定着した日(渡り終了日)までを渡り期間とした。空間的な一貫性については、繁殖期直後の移動⽅向を北上・停滞・南下に分類し、さらに行動圏の重複度と経路の類似性を算出して個体内と個体間で⽐較した。時間的な⼀貫性については、離島⽇、渡り終了⽇、渡り期間の⽇数を求め、個体内と個体間の分散から個体内⼀貫性を算出した。

結果・考察

48個体から延べ85回の渡り経路を取得し、うち20個体は複数年の追跡が含まれた。ほぼ全ての個体が同じ⽅向に渡りを開始し、行動圏の重複度と経路の類似性は個体間より個体内で⾼く、空間的⼀貫性は高かった。一方で、離島⽇、渡り終了⽇、渡り期間の⽇数は同一個体内でも2週間から1ヶ⽉以上変動し、時間的⼀貫性は低かった。以上から、短距離渡りを⾏うウミネコでは空間と時間で⼀貫性の程度が異なり、既知の場所を利⽤しつつ、時期を調整して環境の年変動に対応している可能性が示された。